AE-TYBLE16のFritzingパーツを作る

目的

AE-TYBLE16を使用して工作を始めているが*1,工作レベルで使ってきているFritzingには当然,AE-TYBLE16は存在しない! そのため,今回はFritzingのチュートリアル等に従い,AE-TYBLE16のFritzingパーツを作成する.

名称 規格 製造会社 備考
オペレーティングシステム Windows 10 Pro(64ビット),バージョン20H2 マイクロソフト インターナショナル版
CADソフト fritzing beta Version 0.9.10 Fritzing 2023/02/26時点最新版
ドローソフト Inkscape 1.2.2 Inkscape 2023/02/26時点最新版

結論

Inkscapeを用いてsvgファイルを作成し,以下のブレッドボードビューを作成した.本来はこのモジュールの基板幅は8.0mmだが,ブレッドボードで工作しやすい(?)ように7.62mmとして作成しているため,300milという名称を付加している.

AE-TYBLE16のブレッドボードビュー

以下のGitHubページよりAE-TYBLE16_300mil.fzpzをダウンロードして利用可能とした.このfzpzをダウンロードして実行すると,My Parts内に取り込むことができる.

github.com

苦労の結果のツイートはこちら:

詳細

基本的には,こちらの公式手順New Parts Editor releasedに従う.今回作成したAE-TYBLE16は,Generic ICの部品をベースとして作成した.

必要な画像ファイルは以下の4つ

分類 役割 今回のAE-TYBLE16作成へ当たって
ブレッドボードビュー(Breadboard) ブレッドボード図で使用する 新規作成
回路図ビュー(Schematic 回路図で使用する Generic IC 16ピンより流用して変更
基板図ビュー(PCB) 基板図で使用する Generic IC 16ピンより流用
アイコン(Icon) パーツリスト表示に使用する ブレッドボードビューで代替

の4つである.主として,ブレッドボードビュー,回路図ビューとパーツ情報Metadataの作成である.

事前に公式のテンプレート配布ページからfontsandtemplates.zipをダウンロードして,フォントをインストールしておく必要がある.

Inkscape画像作成編

  1. Inkscape(またはAdobe Illustrator)でファイルメニューからドキュメントのプロパティーを選択
  2. 工作の範囲では2.54mm(0.1in)ピッチのものが多く,今回もそれと同等なのでグリッドを0.1inにしたいので,グリッドから単位をインチinにして0.1ごとになるように設定
  3. 商品画像を実寸で並べてブレッドボードビュー画像を作成していく
  4. ひととおり作成が完了したら,再度,ドキュメントのプロパティーを選択して,作成画像が余白なくフィットするようにリサイズを実行する
  5. リサイズ実行後は,パーツ以外の部分はグレーアウトしてぴったりフィットする(フォントはOCRAを使用している)
  6. 保存時は,Inkscape SVGでも問題なかったが,公式の手順ではPlain SVGとのことである

なお,ブレッドボードビューの画像作成としてはここで完了で,回路図ビューも同等の手順のため割愛する. ただし,ブレッドボードビューに関しては,Fritzingへの取り込み時に以下の問題が発生する(と思われる)ので,これらも対応することを推奨する.

ピン番号が自動的に割り当てられないことへの対処

ブレッドボードビュー画像自体は作成完了したが,この状態ではFritzingに取り込んだ際にピン番号が自動的に割り当てられないために,XMLエディターでオブジェクト名を編集する必要がある.たとえば,1ピンの場合は,該当の図形を選択してid名をconnector0pinにする.2ピンならconnector1pinというようにid名はピン名-1の値となる.

XMLエディターの起動
"ピン"の画像idを`connector#pin`に変更

Fritzingに取り込み後,画像内のフォントが小さくなってしまうことへの対処

以下の画像のように,Inkscape(左)では問題ないが,Fritzing(右)ではフォントが極小になってしまう問題が発生する*2

シルクに対応する文字が極小になる

回避策のひとつとして,該当するテキストのフォントサイズ設定において,数字だけではなくて,単位(ここではpt)も付与して決定すると回避できた.

フォントサイズ指定は単位をつける

Fritzingパーツ取込編

  1. Core PartsからGeneric ICを選択,ブレッドボードビューに配置してから,ピン数をデフォルトの8ピンから16ピンに変更
  2. Generic IC(名称をAE-TYBLE16に変更している)を右クリックして,Edit (new parts editor)を押下
  3. パーツエディターは,起動時にはブレッドボードビューで,ピン名称Nameをpin#(#は自然数)からDIP#に,ピン詳細Descriptionをpin #からP0.#などに変更
  4. ファイルメニューからLoad image for viewを選択して,先に作成したブレッドボードビューの画像(svgファイル)を読み込む
  5. 正しくピン名称も読み込まれると,ピン名称の左隣にチェックマークがつく(読み込まれない場合は前述のオブジェクト名変更connector#pinが必要)
  6. 次に,回路図ビューだが,デフォルトではピン番号のみしか記載がないため,ファイルメニューからShow in Folderから実際のこの回路図画像を探し出して修正し,その修正後の画像を取り込む
  7. 次に,基板図ビューは,今回既存のdip_16_300mil_pcb.svgから変更しないのでこのままでよい*3
  8. 次に,アイコンビューとなるが,これはブレッドボードビュー画像をそのまま利用するため,ファイルメニューからReuse breadboard imageを選択する
  9. 最後に,パーツエディター内で別のシートのメタデータに移動し,好みのデータを入力する

上記操作を実施後,ファイルメニューからSave as new partを選択して,保存したいパーツ名称を入力してOKを押すと,以下の該当するディレクトリーに該当のsvgファイルなどが保存される(部品の重複を防ぐために,おそらくハッシュ値が付与されるつくり).私の環境の場合はAE-TYBLE_300milと入力してブレッドボードビュー画像としてAE-TYBLE_700mil_d01f9ebe032b59cc62e6811b06fe15be_1_breadboard.svgが作成された.

部品名称入力ダイアログ

部品名称 パス(デフォルト)
ブレッドボードビュー %USERPROFILE%\Documents\Fritzing\parts\svg\user\breadboard\
回路図ビュー %USERPROFILE%\Documents\Fritzing\parts\svg\user\schematic\
基板図ビュー %USERPROFILE%\Documents\Fritzing\parts\svg\user\pcb\
アイコン %USERPROFILE%\Documents\Fritzing\parts\svg\user\icon\
fzpファイル %USERPROFILE%\Documents\Fritzing\parts\user\

その他

ほぼ15年ぶりくらいにInkscapeを使ってみて,知らないうちに大きく変わっていた(ような気がしてしまった)と思う.それに加えて,交差の方法だけでなく,中央揃えというような操作まで全然覚えていなくてたいへんだった.

また,Fritzingのパーツ作成で,どうしてもハッシュ値がないパーツ名を作成したかったが,本質的でもないしムダな時間を消費してしまった!

なお,開始当初は以下の画像で行こうと思っていたので,個人的にはだいぶ頑張ったほう.

着手当初の画像

改訂履歴

# 日付 内容
1 2023/02/26 GitHubへのコミットとリンクを記載
節 詳細を記載

参考サイト

  1. Fritzing カスタムパーツの作り方 – jumbleat
  2. New Parts Editor released
  3. InkscapeでDesign- 円/扇型/弧
  4. Inkscape | 切り取りと切り抜き、差分と交差の使い方 | ONE NOTES
  5. Inkscapeで線を引く3つのツールの使い方 | イズクル

リンク先はすべて2023/02/26現在のもの

*1:既に2ヶ月経ってしまった...

*2:実はご覧のとおり,金属枠が真四角になってしまう問題も発生しているが対処方法が全くわからない.

*3:GitHub上のデータはファイル名称だけ変更して使用している.